2005-09-06 22:25:27獨戀‧風╭m o e╮

恋ぶみ屋一葉

演舞場初出演!初顔合わせ!
あの名作を新鮮なキャストで上演

【解説】
新橋演舞場十月公演は、齋藤雅文作「恋ぶみ屋一葉」を、十一年ぶりに新鮮な顔ぶれで上演いたします。

「恋ぶみ屋一葉」は平成四年当劇場で初演され、平成六年に再演されました。日本の心を明治の風情とともに描き出したと高く評価され、再演の舞台は第二回読売演劇大賞の最優秀作品賞を、また、主演の杉村春子は、本作の演技ほかにより大賞を受賞いたしました。


今回の舞台では、下谷龍泉寺町で恋文の代筆業を営み、以前樋口一葉の弟子だったことから「恋文屋一葉」と仇名されている前田奈津役を浅丘ルリ子、そして奈津の文学仲間で、流行作家の加賀美涼月役を高橋英樹という、どちらも新橋演舞場初出演の二人が、初顔合わせで演じます。

演出は初演以来江守徹が勤めており、新たな主演者を得て、情緒あふれるしっとりとした舞台が蘇ります。まさに芸術の秋にふさわしい話題の公演です。

◆ ◆ ◆

【物語】
明治四十三年の東京。前田奈津(浅丘ルリ子)は娘時代樋口一葉に憧れ小説家を志すが、その夢をあきらめ、今は一葉ゆかりの下谷龍泉寺町で、吉原の遊女や近所の人の手紙の代筆をする「恋文屋」をして暮らしている。

同じ尾崎紅葉門下で奈津の後輩にあたる作家加賀美涼月(高橋英樹)は、いまや売れっ子の小説家だが、若い頃芸者小菊と大恋愛の経験を持つ。二人の仲は師匠紅葉によって引き裂かれ、傷心の小菊は田舎に嫁ぎ、まもなく死んだということだった。


ある日、涼月の新入りの書生羽生草助(滝川英治)を連れ戻すため、彼の母親が奈津に助力を求めにきた。小説家になるために家出をしたのだという。その顔を見て奈津はびっくり。死んだはずの小菊、今は川越で菓子製造業を営む羽生きく(光本幸子)だったのだ。

草助は初めて連れて行かれた吉原で芸者の桃太郎(大河内奈々子)に一目ぼれ。しかし涼月は自分の苦い経験からか、弟子の芸者遊びは厳禁。ましてや芸者との恋愛などもってのほかだった。

若い二人のういういしい恋、涼月とキクの二十一年ぶりの恋の行方、そのはざまで奈津の思いはさまざまに揺れ動く・・・。

明治の下町を舞台に、それぞれの裄丈(ゆきたけ)に合った人生を優しく描き出す舞台にご期待下さい。