2009-02-13 21:08:55Akizora

「ありますか」的尊敬語

「ある」の敬語には、「ございます」という丁寧語と「おありになる/おありだ」という尊敬語の二つが存在します。このうちどちらを使うのが適切であるかは、「ある」の表す意味によって決まります。

「ある」は「(~に)~がある」の形でものが存在することを意味します(「机の上に眼鏡がある」)。しかし、「あの方にはお子さんがある」のような場合には、「ある」はものの存在というよりは所有の意味で用いられています。この場合、聞き手にのみ敬意を払うのであれば、「あの方にはお子さんがございます」と、丁寧語である「ございます」を用いることになります。一方、所有者たる「あの方」にのみ敬意を払うのであれば、「あの方にはお子さんがおありになる/おありだ」と、尊敬語である「おありになる/おありだ」を用いることになります。また、両者に対して敬意を払うのであれば、「あの方にはお子さんがおありになります」のように、尊敬語の丁寧体が用いられます。

「質問がありますか」の場合は、話し手によって存在か所有かの判断に揺れが見られる例です。私自身は「おありになりますか?/おありですか?」と尊敬語を用いるほうが自然であると感じますが、「ございますか?」という丁寧語を耳にすることも少なくありません。