台湾艦隊の与那国接近「軍全体のミス」 海軍トップの処分も
【台北=吉村剛史】台湾海軍の艦隊が演習海域を離脱し、沖縄県・与那国島に接近した問題で、艦隊指揮官が事前に演習海域からの離脱を電文で演習監督部門に報告していたことが確認され、台湾国防部(国防省に相当)は10日までに、軍全体のミスを指摘し、関係者の処分を全面的に見直すとの異例の決定を行った。海軍トップの董翔龍司令長官(大将)も、自身を処分対象とするよう要請。国防部は同司令長官について権限者の馬英九総統の決裁を仰ぐとしている。
海軍 かいぐん 艦隊 かんたい 演習海域 えんしゅうかいいき
離脱 りだつ 接近 せっきん 指揮官 しきかん 電文 でんぶん
監督部門 かんとくぶもん 指摘 してき 処分 しょぶん
見直す みなおす 異例 いれい 要請 ようせい 権限者 けんげんしゃ
決裁 けっさい 仰ぐ あおぐ
国防部が9日、発表した新たな調査報告書では、参謀本部、海軍司令部、艦隊指揮部から演習艦隊の司令だった張鳳強少将にいたるまで、関係した全ての部門においてミスがあったとし、当初の調査報告を撤回した。軍全体に及ぶ大量処分の可能性も浮上してきたといえる。
調査報告書 ちょうさほうこくしょ 参謀本部 さんぼうほんぶ
司令部 しれいぶ 全て すべて 撤回 てっかい 浮上 ふじょう
報告によると、張少将が指揮したキッド級駆逐艦「蘇澳」など3隻は、7月26日未明、演習海域を離脱して日本の防空識別圏(ADIZ)の公海に進入したが、直前の25日午後9時台に、2度にわたって演習監督部門に離脱の針路を電文で報告していた。同部門は電文を「見落としていた」という。
未明 みめい 防空識別圏 ぼうくうしきべつけん 公海 こうかい
進入 しんにゅう 見落とす みおとす
張少将は随伴艦の制止を無視したとされるが、証言などには食い違いもあり、すでに懲戒処分を受けた張少将ら将校5人についても見直しの対象となった。
制止 せいし 無視 むし 証言 しょうげん 食い違い くいちがい
懲戒 ちょうかい 対象 たいしょう
当初、張少将には軍の指揮・統率に直接関わる「抗命罪」の適用も検討され、「日本にこびた厳しい処分」とする軍関係者の批判が噴出した。国防部では「対日配慮ではなく軍紀違反」と釈明に追われたが「当初の決定は、『東シナ海平和イニシアチブ』を提言した馬総統のメンツを潰した責任を、現場に押しつけようとした」との指摘もあり、馬総統は「規定に沿った処分を望む」とコメントしていた。
当初 とうしょ 適用 てきよう 批判 ひはん 噴出 ふんしゅつ
配慮 はいりょ 軍紀違反 ぐんきいはん 釈明 しゃくめい
追われる おわれる 提言 ていげん 潰す つぶす
2012.8.10MSNニュースにより