(メモ)生活が健康の秘訣
40年続いた1万歩ウォーク、そして常に目的を追いかける生活が健康の秘訣
「これは健康に良いのよ」と人に薦められると、先生は直ぐに実行して熱中する熱中癖があることはお話しましたが、ほとんどがそう長くは続きませんでした。ただ、1万歩ウォークだけは別でした。なにしろ私が先生のところに参りましてから亡くなる寸前までですから、約40年間、毎日です。両手を脇につけて、そう、マラソンの姿勢で、ちょっと急ぎ足で歩くのです。万歩計は使わず、「ひィ、ふゥ、みィ」と数えながら。1万歩は大変だと思いますが、義務で歩いているという風ではなく、はたからみると数えることを愉しんでやっているようでした。愉しみにかえてしまうとこが、宇野千代流というのでしょうか。
足さえ丈夫なら寝込むことはない、と先生は信じてらして、この1万歩ウォークを欠かさなかったのだと思います。「頭痛がしたことも、肩が凝ったということも、足腰が痛むということもないのは、この1万歩ウォークのおかげかもしれない」と言っておりました。
1万歩ウォークのほかには、70代のころには「たわしマッサージ」を続けていました。全身を亀の子たわしでこする。おかげで風邪には縁がありませんでした。
こうお話してきますと、健康によいものを食したり、1万歩ウォークをしたりが、先生の健康法のすべてと思われるかもしれませんが、そうではありません。常に目的をもち、毎日を忙しく過ごす。クヨクヨせず、他人の悪口を言わない。これが、先生の一番の健康法だと思います。それに、お話しましたように、何でも愉しくやる。いくら健康によいとはいえ、つらいと思っては効果も半減してしまうでしょう。
先生は常に健康で若々しくありたいと願っていましたが、老いを隠すようなことはありませんでした。「長い人生では、私も少しは人のためになったこともあるでしょうから、今自分は人の手を借りなければならないなら、若い方の手をお借りしてもいいのではないかしら」と。老いを受け入れる「受け入れ上手」でもあったと思います。
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