2006-06-20 19:45:37小葵

東京タワ一23

と言い、店員の持ってきたおしぼりを使いながら、ビ-ルと手羽先、ざる豆腐、それにあぶり牛肉を注文した。
身長は、透の方が四センチ高い。それにもかかわらず、目の前の友人は、透のもに、会うたびに大きく体格よくなっていくようにみえる。いて目わからない人間がいるが、耕二はその逆だ。いれば必ずそれとわかる。
「存在感の問題なんだろうな」
透は、自分が耕二を、まるで弟でもみるような気持ちでまじまじとみていることに気づく。
「何が?」
耕二は、運ばれてきたビ-ルをいかにもうまそうに飲んだ。お通しにも早速箸をつける。
「お前の、その体積」
「体積?」
「いるだけで騒々しいっていうかさ」
耕二は怪訝な顔をした。
「何だ、それ」
「いいよ、なんでもない」
透は耕二を無条件に好きだった。単純に。それは耕二の長所や欠点とは関係のないことだ。

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