2012-07-22 11:59:28pochi

平準化社会 2




フラット化する社会としての話題ですが、ちょっと考えさせられる話をひとつ。

 

最近、日本でも非正規雇用(こういう言い方がそもそも変だと思う。テンポラリであれ、契約雇用であれ、非正規ではない。日本は 年功序列だが、海外では業務に応じた契約雇用も普通の雇用形態である(と、思う。))が増えているという。確かに周りを見ても、そんな感じは実感する。こ れは、ひとつはグローバル化に伴う合理性の追求という面があるが、反面、働き方の変化、という面も否めないと思う。

 例えば、日本の場合学位を持って会社に入社しても、短くても数年の間は、いわゆる下積み生活、を強要される。この間は、業務 指示だけでなく、仕事のやり方、社会人としての在り方、まで事細かに指導される。この間は、年長者であるだけで、わけのわからないおぢさんやおばさんにも 逆らうことは許されない(日本の会社には必ずそういう人がいる)。ひとつの通過儀礼のようなものである。もちろん、大学を出たくらいの年なら、たいていは 人格や生き方は出来上がっているから、これは大変辛い。この辛さを回避するための方法の一つとして、派遣業務を選択するという手がある。


 不思議なことに、日本では派遣社員に対しては(その)会社人としての在り方、は教育しない。というか、法規上?することがで きない(その部分は派遣会社の仕事とされている?)。そこで、くだんのおぢさんやおばさんには、面倒なことは言われず、ただ仕事ができることを評価され重 宝される。精神的にもだいぶ楽である。勤務時間も(法規上)無理な拘束はされないし、不合理なことを押し付けられたりもしない。


 ただ、この下積みの数年感が意外と大事である。なぜなら日本の大学では、マネジメントを始めとした、知識以外の業務遂行につ いては教えない。それをこの数年で、見よう見まねで覚えないといけないことになる。(もちろん、例外はたくさんある。テンポラリの仕事を重ねながら、自ら のマネジメント能力を鍛え上げていく人はたくさんいる。が、それは例外であると思うので、ここではそれは見ないことにする。)

 

同一業務同一賃金という言葉がある。

同じ仕事をしているのだから、派遣でも正社員でも同じ賃金、ということであり、これは至極もっともな話である。ただ、問題なのは、同一業務、かどうかというところである。

 

私の勤め先ではないが、友人の会社であった話。

そこでは、正社員と派遣社員が混在して仕事をしている職場です。とある派遣社員がいて、仕事もよくできます。プロジェクトの資 料の整理が主だったのですが、同僚の正社員と比べても遜色はありません。本人が言い出したのではなく、その人の派遣社員の同僚が言い出したことですが、 「正社員と同一業務なのだから、同一賃金にするか、正社員にすべきではないか。」。彼らの上司も至極もっともだと思い、本人の希望もあったので、正社員に しました。仕事そのものは全く同じです。しかしながら、なんとなくちょっとだけ増えた責任や自由度の低下(これらは押し付けられたものでなく、自らが進ん で自らに課す形になるものです。日本のサラリーマンのもっとも課題とすべきところかもしれません。)が嫌で、結局辞めてしまいました。職場の雰囲気が悪い わけでなく、ちょっとだけ増えた責任や自由度の低下も、かの同僚の正社員に比べれば、みんな気を使っており、少ないものでした。

 

この話は、会社の仕事というのは、単に物理的な仕事だけでなく、目に見えない部分があり、そこに個人差を見いだせるということだと思う。とても悲しいのは、同一業務かどうかは、自分では正確に判断できないことにあると思う。

 

これからますます働き方は多様化していくだろう。ただ、多様化していくなかで、この目に見えないところの能力、をどう身に着けるかが課題となる。たぶん、日本でも、この部分を大学できちんとトレーニングすることが大事になってくるかと思います。