2011-03-28 16:54:40雪子

想寫卻不能寫的事

http://www.radiodays.jp/blog/hirakawa/

上のリンクは内田樹の友人平川克己が書いた文章です。内容については省略しますが、私も日本語で、日本の知人友人にメールを書いたり、何か文章を書こうと すると、「書けないこと」がすごくたくさんあるような気がするのです。その「書けないこと」を文章化しておこうと思うのですが、なかなかうまく言葉にでき ないし、その内容を誰と議論してよいのかわからないのです。

でも、今「書けない」、「言葉にできない」と思っていることがとても大切なことなのではないだろうか、という直感みたいなものはあって、なんとか文章化し て誰かに伝えたいと思っているのですが、今、そういう「自分と違う」人の話に耳を傾ける余裕のある日本人がいるのか、自信がもてないでいます。妊娠がわ かってから数ヶ月間、ベビカムやその他の掲示板を読む機会が増えましたが、自分とほんのちょっとちがうだけで「いらっと」したり、「もやもや」する人がと ても多いと感じていました。そういう社会に暮らす人たちが未曾有の大災害に出くわしたときに、今までよりもオープンマインドになれるとはちょっと思えない のです。残念だけど。

本当は、こういう非常時だからこそ、既存の、使い古したフレーズを繰り返したり、マスコミや専門家の言うことをそのまま引用してしゃべったりするのではな く、違った言葉遣いをする人、自分の言葉で話そうとする人の声を聞いた方がいいし、自分自身も自分の直感的な判断とか、身体が発する声によく耳を傾け、み んなに伝えた方がよいと思うのですが、そういう考えに同意してくれる人がいるのか自信がありません。

http://ameblo.jp/cocoro2008/entry-10839026826.html
これは13歳の自称「B級アイドル」が書いているブログですが、個人的には、専門家や政府やマスコミの使い古された言葉をつらねている言説より、ずっと私 の身体感覚に近いと思いました。でも、今、日本語でこういうことを書いて発表するのは勇気のいることなんですね。東京にいる人には、この13歳の女の子の 言葉はどう受け止められるのかなと気になりました。

例えば、どんなことが書きたいけど書けないことなのか、今の時点で思いつくことをメモしておきます。

1本当は、関東地方在住の家族や友人に「早く逃げろ」と言いたいです。でも、言えません。こんなことを言うと「恐怖心をあおっている」「逃げないでがんばっている人がいるのに不謹慎」「パニックになったらお前が責任とれるのか」などと、現地にいる方から非難されそうだからです。でも、内田樹も書いていたけれど、関東地方にとどまって買い占めをしたり、他人に不寛容な態度をとって雰囲気を険悪にしたりするくらいだったら、移動が可能な人から関東地方を離れたら良いと思っています。本当は、妊婦や乳幼児とその保護者は、政府や自治体の支援のもとで希望者から移動できると良いと思うのですが。。。

2原発の問題が解決するまで息子を連れて郷里に帰ることはできない、と思っていることも言えません。外国人として、情勢が変わったら台湾にいられなくなるかもしれないという漠然とした危機感のようなものは常に持っていました。でも、そういう危機感はあっても、「台湾にいられなくなったら帰国すればいい。日本はやっかいな国で居心地も悪いけれど、なんとかなる。」と思っていました。今回、生まれて初めて、「もう一生故郷に帰ることもできないし、見せたいと思っていた場所に息子を連れて行くことも、あわせたいと思っていた人に息子をあわせることもできないかもしれない」と思うようになりました。

まだまだいろいろあると思うのですが、まだ言語化できません。もう少し考えてまた書きたいと思います。
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