2009-05-27 20:38:02雪子
爵士群像
半分読んで:
あらためてこの人の世界はなんて豊かなのだろうとと驚きました。私にはジャズが村上世代の日本人にとってどのような存在だったのか、感覚的に理解することができないのですが、それでも、村上と和田がこの本に描かれている一人一人の演奏者のことが本当に大好きで、敬意を払っているのが伝わってくるのです。「音楽を聴く」というのは、こういうことなのか…と改めて驚かされました。今までなんとなく音楽評というジャンルの文章について、「カッコばかりつけていて中身がない」という印象を持っていたのですが、それはたぶん、その評論者が演奏者や彼が奏でる音楽に対して心から敬意を払っておらず、「おれっていろいろ知ってるでしょ、すごいでしょ」ということを示すためだけに文章を書いていたからなのでしょうね。他者に対する愛と敬意のある文章なら、どんなジャンルのものでも読んでいて楽しくなるものだと分かりました。これは私にとっては結構大きな発見でした。
奨学金で暮らしている身の癖に、ここに上げられている演奏者のCDを全部買い集めたいという衝動に駆られています。
以下は抜粋:
でもそこには何か、僕の心を刺し貫くものがあった。「今目の前にしているものは、よく理解できないにせよ、僕自身にとっての新しい可能性を秘めた何かなのだ」と本能的に感じることができた。(38)
→こういう感覚、私も経験したことがある。
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