【詩譯情箋】菊田守詩作二十首
(圖為文藝社《日本動物詩集》的封面。本書匯集菊田守(1935-2019)先前二部選詩集《日本昆蟲詩集》、《日本鳥獸詩集》內容,重新編輯出版。菊田詩裡有許多小動物登場。菊田不把小動物單純當作創作素材,而是與牠們生活在同一次元中,將關懷體察之情化為詩。透過身邊各種小動物的視角,敏銳透視人類的本質,展現崇敬自然的心意,並進一步反思人類與自然共生共存之道)
【作者簡介】
菊田守(1935-2019),昭和至平成時期的詩人。東京都人。明治大學畢業。大學時代讀過詩人安西冬衛(1898-1965)的短詩〈春〉,對詩產生興趣,開始寫詩投稿。之後長年任職於地方銀行,期間不斷創作。以多寫、善寫蟲魚鳥獸詩聞名,有「小動物的詩人」之稱。平成六年(1994),詩集《暮蟬》獲第一回丸山薰獎。曾任日本現代詩人會會長。著有《風箏》、《烏鴉》、《蚊的一生》、《麻雀》等十多部詩集。
[變身的烏鴉]
人說對烏鴉產生了厭惡
而將牠們趕走
烏鴉便從人前消失
但在書店角落的
鳥類圖鑑最後一頁的有限空間裡
烏鴉正飛動著
有的在石頭上休息
有的以緬懷往昔的姿勢
啄食田裡的種籽
初夏周末的電車
幾名穿著喪服的女性快跑衝了進來
清新的季節氣息隱藏在喪服之中
各自的白皙身段耀眼奪目
話語從唇邊輕輕飛射交錯
「烏鴉!」我小聲說
這不就是真正的烏鴉嗎
烏鴉變身成人,不怕生地笑著、鬧著
無視人群
森林中絢麗的綠意復甦了
烏鴉發出尖銳的叫聲
不久後
樹葉的喧嚷已停歇,談話也中斷
要抵達車站了
她們紛紛下了車
大概是回去森林裡吧
在我心中
人的話語就像樹葉一樣喧騰
沒多久
如烏鴉離去後的黃昏般的靜謐悄然降臨
[変容のカラス]
ヒトはカラスが嫌いになったといって
追い払ったので
カラスはヒトの前から姿を消してしまった
しかし本屋の片隅の
鳥類図鑑の最後の頁の限られた空間に
カラスはとんでいた
あるものは岩に休み
あるものは昔をなつかしむ姿勢で畑のタネを
ついばんでいた
初夏の週末の電車に
喪服の数人の女性が走りながら乗りこんできた
新鮮な季節が喪服のなかに秘められた
それぞれの白い姿態をまぶしく輝かせ
言葉は唇から軽やかにとびかった
カラス! わたしはつぶやいた
これが本当のカラスではないか
カラスはヒトに変身して人なつこく笑い、ざわめき
ヒトを無視していた
森の中でまぶしい緑がよみがえり
カラスは甲高い声で鳴いた
やがて
木の葉のざわめきがやみ、会話が途絶えた
駅へ着いだのだ
彼女たちは次々と降りて行った
森へ帰っていったのだろう
わたしのなかで
ヒトの言葉が木の葉のようにざわめいた
やがて
カラスの去ったあとの夕暮れのような沈黙がやってきた
[蟬]
蟬這個字形似禪字
用辭典查了下禪這個字
意思是讓心靜下來即能獲得的
高層次的宗教式內在體驗
寫了蟬這個字
感傷蟬虛幻無常的一生
住在土裡七年
只能在地上存活七天的蟬
聽到蟬鳴覺得悲傷
會鳴叫的蟬叫鳴蟬
不會鳴叫的蟬叫啞蟬
嚇得說不出話的樣子
嚇得啞口無言的樣子叫啞然
在禪和啞然之間
蟬正鳴叫著
[蟬]
蟬という字は禅という字に似ている
禅という字を辞書で調べてみると
心を静めることによって得られる
高い次元の宗教的内面的体験とある
蟬という字を書いては
蟬のはかない生涯を哀しむ
七年間土の中に住み
七日間しか地上に生きられない蟬
鳴く蟬を聞いては哀れに想う
鳴く蟬は鳴蟬という
鳴かない蟬は啞蟬という
あきれて言葉の出ぬさま
あいた口のふさがらぬさまを啞然という
禅と啞然とのあいだで
蟬が鳴いている
[奇妙的戰爭]
深夜裡
我入侵蟑螂的世界
不小心
殺死一隻蟑螂
完全沒發覺
一夜之間
我家已被蟑螂占領
蟑螂被殘忍地壓扁
腳、翅膀和身體四散一地
我急忙收拾
但穿喪服的蟑螂
已在暗處窺探我的情況
我逃回臥室
像逃犯那樣鎖上房門
我讀了蟑螂國的歷史
被人厭惡卻有著漫長歷史
對蟑螂族感到佩服
現在為了蟑螂要舉行的葬禮
暫以虔敬的心情
祈求死去蟑螂的靈魂能安息
沒多久
我開始意識到我是人
占領我家、把我監禁在房內皆屬非法行為
我開始認真思考如何攻克蟑螂國
雖然連自己都無法置信
但是對蟑螂逐漸增強的厭惡
怎樣也無法消除
我想
明天要與蟑螂展開全面戰爭了
[奇妙な戦争]
わたしは真夜中に
ゴキブリの世界に侵入して
不覚にも
ゴキブリを一匹殺してしまった
まったく気付かなかったのだ
一夜のうちに
わが家がゴキブリに占領されていたことを
ゴキブリは無残にも潰れていた
脚と翅と胴体があたりに四散している
わたしはあわてて始末したが
喪服を着たゴキブリが
暗やみでもうこちらの様子を窺っている
わたしは寝室に逃げ帰り
逃亡者のような気持で部屋の鍵をかけた
わたしはゴキブリ国の歴史をひもといて
憎まれながらも長い歴史を生きぬいてきた
ゴキブリ族に感心し
いまゴキブリで行なわれている葬儀のために
しばし敬虔な気持で
死んだゴキブリの霊よ安らかにと祈った
しばらくしてわたしは
わたしがヒトであることを意識しはじめた
わが家が占領され、その一室にわたしが監禁されていることは不当だった
わたしはゴキブリ国攻略をしんけんに考えはじめた
自分でも信じられないことであるが
しだいに増してくるゴキブリに対する憎しみは
どうしても消すことはできない
明日はゴキブリとの全面戦争を展開しようと
わたしは考えた
[蟪蛄]
這又是
在地獄哪處遭到拷問呢
不僅身體連翅膀都是焦黑的
但依然整天嘰嘰叫
看那樣貌
不知為何恰似般若的面容
[ニイニイ蟬]
これはまた
地獄のどこで拷問されたのか
身体はもとより翅まで黒焦げである
それでも終日ジージーと鳴いている
その姿を見ていると
なぜか般若に見えてくるのだ
[麻雀]
抓麻雀這件事
不是做不到
而是不能做
殺麻雀
就是殺了自己
麻雀自由自在飛翔
和人類自由行走相同
灼燙的屋瓦上
被底下招呼聲嚇到的
麻雀
麻雀眼中映出了我
[雀]
雀をつかむことは
出来ないことではないが
出来ることではない
雀を殺すことは
己を殺すことである
雀が自由自在にとんでいるのは
人間が自由に歩くことと同じである
熱い瓦屋根の上から
挨拶されてびっくりした
雀だった
雀の目にわたしが映っていた
[初秋]
午後
擠滿年輕人的山手線電車裡
一隻蛇眼蝶迷途闖了進來
停在行李架上
那是收集樹液和動物屍體的蝴蝶
待在乘客森林中一動也不動
明明一直住在陰暗的森林裡
卻是多麼美麗的蝴蝶啊
在下個車站
蛇眼蝶跟年輕的人們一起下車
一時
車廂內猶如散發新鮮樹液氣息的雜樹林
顯得一片寂靜
[初秋]
昼下がり
若い人たちで賑わう山手線の電車のなかに
一匹のジャノメチョウが迷いこんで
網だなの上にとまっている
樹液や動物の死体にあつまる蝶だ
乗っているヒトの林の中でじっと動かない
いつもは暗い林の中に住んでいるのに
なんと綺麗な蝶なのだろう
次の駅で
ジャノメチョウは若者たちと一緒に降りていったが
いっとき
車内は若い樹液の匂う雑木林のように
静まりかえっていた
[鴿子的一擊]
鴿子低空飛行
對我進行襲擊
就在白鷺公寓
往下井草一丁目的轉角旁
以前
這裡叫做天沼三丁目
昭和二十年遭遇空襲成了被燒焦的荒地
B29搭載的美國士兵的部分遺骸四散於此
戰後四十餘年的現在
附近還住著美國人家庭
已是幽靜的住宅區
襲擊我的鴿子
在空中繞一大圈飛走了
捕捉蟬的童年時
如艦載機般襲擊我的鴿子
歪著頭
停在電線上
[鳩の一擊]
鳩が低空飛行で
わたしを襲ってきた
白鷺ハイムから下井草一丁目へ
角を曲ってすぐの所だ
以前は
ここは天沼三丁目と呼ばれ
昭和二十年の空襲で焼け野原となった所
B29の米兵のバラバラの胴体の一部が落ちた所だ
戦後四十年以上たった今
近くにアメリカ人の家族もすんでいる
閑静な住宅街だ
わたしを襲った鳩は
大きく旋回してとび去った
蟬とりをしていた幼い日
わたしを襲った艦載機のような鳩は
電線にとまって
首を傾げている
[田螺]
養魚的水缸裡有三隻田螺
田螺吃水缸長出的青苔維生
水缸的水得以始終乾淨清澈
而田螺殼上卻布滿青苔
看不見自己背部的田螺
今天仍舊沿水缸邊緣爬行
[田螺]
魚の棲む水甕の中には田螺が三匹いる
水甕に生ずる苔を食べて生きているので
水甕の中はいつも綺麗に澄んではいるが
田螺の貝殼には苔がいっぱい付着している
自分の背中の見えない田螺は
きょうも水甕の縁を這っている
[宛如土塊的麻雀]
麻雀
該不會是某人扔出的
土塊吧
咻的一聲被扔出的土塊
沒落到地上
而是在空中
長出翅膀 長出腳
朝地面翩然落下──
是幻覺嗎
現在從飛揚的風沙中
生出了麻雀
振翅飛向天空
[土塊の雀]
雀はもしかして
誰やらの投げた
土塊ではないだろうか
ぱっと投げられた土塊は
地面に落ちないで
空中で
羽が生え 脚が生え
ふんわりと地面へ舞い降りて──
幻であろうか
いまも風塵の中から
雀が生まれて
大空へとび立っていた
[麻雀的舞蹈]
麻雀在跳舞
踏在地上
碎步急行
腳輕輕蹬地
在空中跳舞
隨即站回地上
伸長腦袋
一副眺望遠景的艷麗姿態
今天
依舊從遙遠的天空彼端
飛來院子
獻出逗趣舞蹈的
一隻麻雀
[雀の舞踊]
雀は舞い踊る
地面を踏み
つつつと小走りに歩き
地を軽く蹴り
空中で舞い踊る
地面にすっと立ち
首を伸ばし
遠くを眺める艶の姿
今日も
遠い宇宙の彼方から
庭にやってきて
道化の舞台を舞っている
一羽の雀
[大蚊]
凝視著
魚腥草和庭菖蒲綻放的院子時
昏暗房間裡
出現一隻巨大的大蚊
彷彿拄著拐杖
撞那又撞這
飛來飛去
十公分的長腳
似乎立刻就要折斷
不顧這憂慮
砰的一聲撞上這邊拉門
砰的一聲撞上那邊牆壁
累了就坐在房間一角
看上去像是蚊界的冠軍
碩大身軀、大型翅膀
長腳的大蚊
一拉開房間拉門
便如原始昆蟲那般
不慌不忙飛進繡球花的花蔭
任何時候看起來
都像典型的老實人那樣
猛衝直撞的一生
平時在景物的角落
折彎長腳休息
滑稽又可愛的
大蚊
[ががんぼ]
ドクダミと朝鮮あやめの咲く庭を
眺めていると
うす暗い部屋の中に
大形のががんぼが一匹現れた
杖をついているように
あちらにぶつかり
こちらにぶつかりしてとんでいる
十センチもある長い足は
すぐに折れてしまいそう
そんな心配をよそに
こちらの障子にがつん
あちらの壁にごつんとぶつかっている
疲れると部屋の隅に座りこんでいる
見た目は蚊の仲間のチャンピオンみたい
大きな身体、大型の翅
長い脚のががんぼ
部屋の障子をあけると
紫陽花の咲く花蔭に
原始の虫のように悠然ととんでいった
いつみても
正直者の典型のように
ぶつかりぶつかりの一生で
平素は風景の片隅で
長い脚を折り曲げて休んでいる
ユーモラスで
愛らしいががんぼ
[分身]
在庭院乘涼
蚊子嗡嗡嗡飛來
停在我手腕上
扎了一下
吸我的鮮血
為了繁衍後代拚上性命
這隻蚊子,或許是
幾天前吸過我血的
母蚊的女兒吧
蚊子的身體因血逐漸染成紅黑色
想到蚊子靠我的血生長
不知為何就覺得像親人一樣恨不起來反而憐憫
也許是察覺到我這種想法
吸了血膨脹起來的蚊子
變成我的分身
不慌不忙
朝有牽牛花的庭前飛去
[分身]
庭で涼んでいると
蚊がぶーんとやってきて
わたしの腕にとまる
ちくりと一刺しして
わたしの生き血を吸っている
子孫をふやすために命がけである
この蚊、もしかして
数日前にわたしの血を吸った彼女の
娘ではなかろうか
蚊の身体は血で次第に赤黒く染まってゆく
わたしの血で生まれ育ったのか、と思うと
なぜか身内のようで憎めなくて哀れである
そんなわたしの思いを察してか
血でふくれた蚊は
わたしの分身になって
悠然と
朝顔のある庭先へとんでいった
[睡貓──日光・東照宮]
相傳是左甚五郎雕刻的
睡貓正在睡覺
在牠背後看不見的地方
有兩隻麻雀在飛舞
(繞進裡面一瞧便知)
左甚五郎
對任何事都一清二楚
在外側只雕了睡貓
他心腸好
讓兩隻麻雀
待在隱密的地點嬉戲
(這是他真正的心意)
貓正在睡覺
麻雀得以安心
飛舞嬉戲
其實
麻雀想睡覺
貓想起來
追逐麻雀
貓正在睡覺
其實在這裡
貓不得不繼續睡覺
而麻雀
不得不繼續飛舞
[眠り猫──日光・東照宮]
左甚五郎が彫ったと伝えられる
眠り猫が眠っている
そのうしろの見えないところに
雀が二羽とんでいる
(裏にまわって見るとわかる)
左甚五郎は
何でも知りぬいていて
眠り猫だけは表に彫った
彼の優しいこころは
人目につかないところに
二羽の雀を遊ばせている
(これが本音でいいたいところだ)
猫が眠っているので
雀たちは安心して
とんで遊んでいられる
本当は
雀は眠りたい
猫は起きて
雀を追いかけたい
猫が眠っている
本当に此処では
猫は眠り続けなければいけない
そして雀は
とび続けなければならない
[狼煙]
一個多月
沒下雨的草原上
揚起了塵土
一大群麻雀
踏在泥土上行進
大地
猛烈晃動著
戴褐色鋼盔的
麻雀戰士雄赳赳行進
塵土飛揚著
那一帶
猶如升起狼煙
[狼煙]
ひと月余り
雨の降らない草原に
土ぼこりがしている
雀の大群が
土を踏みしめ行進している
大地が
ぐぐっ、ぐぐっと動いている
茶色の鉄兜を被った
雀の兵士の力づよい行進である
土けむりがあがっている
あの辺り
狼煙のような
[形如小螃蟹的蜘蛛]
冬日早晨
待在陽光灑落的起居室
喝著咖啡
小蜘蛛從天花板垂吊下來
仔細一瞧
是隻體長一公釐形如白螃蟹的蜘蛛
在我眼前
乘著暖氣的微風
輕輕、輕輕晃動
宛如雜技演員
白色蜘蛛乘風晃動
──今天一早就有好兆頭
帶來幸運的妖精飄然落在我家的
早晨
[小さなカニのようなクモが]
冬の朝
陽の光の差しこむ居間で
コーヒーを飲んでいると
小さなクモが天井からすーっと降りてきた
よく見ると
体長一ミリほどの白いカニのようなクモだ
目の前で
暖房の風にのって
ゆーらりゆらり、ゆれている
サーカスの軽わざ師のよう
白いクモが風にのってゆれている
──きょうは朝からえんぎがいいわい
わが家に幸せの妖精が舞い降りた
朝だ
[帆船──白狹扇蟌]
夏日
白鷺互動公園內
白狹扇蟌
停在葫蘆池的燈心草上
交配著產下卵
雄蟲以雌蟲頭部為支柱
如鴨跖草般直立身軀
警戒四周
雌蟲的頭
被雄蟲腹部的一對鉗狀物夾住固定
雌蟲像弓那樣彎著身
腹部浸在水中持續產卵
交配的樣子
宛如一艘帆船
微風中
神聖時間流逝的片刻
雌蟲正抖動著身軀產卵
一顆、又一顆
孕育生命的透明卵
靜靜落入池底
二十一世紀的午後
小小葫蘆池裡
長著燈心草的岸邊的
一艘帆船
[帆かけ舟──モノサシトンボ]
夏の日
白鷺ふれあい公園の
瓢簞池のイグサにとまり
交尾したまま産卵している
モノサシトンボ
メスのトンボの頭部を支柱として
露草のように身体を垂直にして
辺りを見張るオスのトンボ
メスは頭をオスの腹部のハサミで
押さえつけられたまま
弓なりに身体を曲げて
水中に腹部を浸し産卵を続けている
つるんだままの姿は
まるで帆かけ舟のよう
微風のなか
聖なる時間が流れるひととき
メスは身体を震わせて産卵している
ひとつ、またひとつ
いのちを宿した透明なたまごが
静かに池の底に落ちてゆく
二十一世紀の昼さがり
小さな瓢簞池の
イグサの岸にある
帆かけ舟
[兔子]
秋日夜晚
兔子來到庭前
牠把前腳
輕輕搭在有金魚的水槽邊
津津有味地喝著水槽的水
投映在水面的月亮
如生蛋黃般
滑過兔子的咽喉
一鉤彎月高懸天空
摸著下巴俯視著
[うさぎ]
秋の宵
うさぎが庭先にやってきた
金魚のいる水槽の縁に
前足をちょこんと乗せて
水槽の水をおいしそうに飲んでいる
水面に映った月が
生卵の黄味のように
うさぎの喉を通ってゆく
三日月が
天空であごをしごいて見ている
[宿敵]
河面上只露出眼睛的青蛙
一口吞掉
被河水沖走的紅蜻蜓
青蛙
還是小蝌蚪時
卻總是
被蜻蜓的幼蟲水蠆威脅
[敵]
川流れの弱った赤とんぼを
川面に目だけ出していた蛙が
パクリと食べた
おたまじゃくしの時
とんぼの幼虫ヤゴに
いつも脅かされていた
蛙だった
[老蛙]
深山的古池附近
一隻長滿疙瘩的
年邁蟾蜍
緊緊闔上嘴
閉目進入無的境界
看似蟾蜍老僧
但靠近看,半張著眼微笑
嘴彎成へ字狀
哎呀!
嘴邊露出了紅蜻蜓的翅膀
再定睛一瞧
是隻拼命忍住笑的蟾蜍
[老蛙]
山奥の古池の辺り
いぼいぼで
いかにも古老の蟇
口をぎゅっとむすんで
目をつむり 無の境地
蟇の老僧か と見たが
近寄ると 半眼微笑
口をへの字に曲げてはいるが
これはしたり!
その口許に赤とんぼの翅が覗いている
なおもよく見ると
必死に笑いを堪えている蟇である
[萬歲]
少年的我
捉來蜻蜓用線綁著
釣青蛙
釣到的青蛙扔地上
從腳趾開始把皮剝得精光
掛在細繩上釣小龍蝦
再把釣到的小龍蝦的尾巴掰下
釣牠們的同類
釣上來的同類
不論哪隻
都像高呼萬歲似的被釣起
萬歲、萬歲
萬歲是降服的姿勢
[バンザイ]
少年のぼくは
トンボを捕まえ糸に縛って
カエルを釣った
釣ったカエルを地面に叩きつけ
脚指からつるりと皮をむき
ヒモに吊るしてザリガニを釣った
釣ったザリガニのしっぽを千切り
仲間のザリガニを釣った
釣られた仲間のザリガニは
どれもこれも みんな
バンザイして釣り上げられた
バンザイ バンザイ
バンザイは降伏の姿勢であった
〈変容のカラス〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁13、14。
〈蟬〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁15、16。
〈奇妙な戦争〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁18、19。
〈ニイニイ蟬〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁20。
〈雀〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁26。
〈初秋〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁28。
〈鳩の一擊〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁45、46。
〈田螺〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁62、63。
〈土塊の雀〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁84、85。
〈雀の舞踊〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁85。
〈ががんぼ〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁87、88。
〈分身〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁90。
〈眠り猫──日光・東照宮〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁110、111。
〈狼煙〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁117。
〈小さなカニのようなクモが〉,譯自:佐相憲一等編,《命が危ないい 311人詩集―いま共にふみだすために》(東京:コールサック社,2011),頁94。
〈帆かけ舟──モノサシトンボ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁94-96。
〈うさぎ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁160、161。
〈敵〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁172。
〈老蛙〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁176、177。
〈バンザイ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁178、179。
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