2014-07-09 17:31:04sheuhrio

彼とのあいだに

しんどい夢をみていた。どんな夢だったかは思い出せない。暑くて寝苦しかっただけなのかもしれない。
時間は夜中の3時をすこし過ぎていた。
夢の疲れが残って寝付けなくなったので、体を冷やそうとベランダに出てみた。
天空の真ん中あたりに、星の集団が輝いているのが見えた。まともに星が見えたのは久しぶりだった。

最近は明るい夜空しか知らない。
街灯や家の明かりに遮られて、ふだんは星をほとんど見ることがない。
みんなが寝静まった夜更けには、ここにも星が出ていたのだ。そのことに、忘れていたことを思い出したかのように感動した。
いくつかの星は、記号のように繋がっている。それぞれの塊まりには、なんらかの星座の名前がついているのだろう。
静まりかえった夜空では、星の輝きは音を発しているようにみえる。そこには宇宙の声があり、耳をすませば星の言葉が聞こえてきそうだった。
ぼくはまだ、夢のつづきを見ているのかもしれなかった。

夜はほとんど闇だった頃があった。空には星しかなかった。
星空を見上げて、「壁のようだ」と言った親友のことばが意外だった。彼とのあいだに、すこしだけ心の乖離を感じた。ぼくの方がロマンチストだったのかもしれない。
そのことを書いた文章が、高校の文芸誌に載った。タイトルは『星空』だった。
心を見つめることと、そのことを文章にすること。そんなことが楽しいことだと知った。楽しいことは苦しいことでもあるという、長い道のりの始まりでもあった。

その頃、足元も見えないほどの暗闇で、こぼれんばかりの満天の星空に遭遇したことがある。
その時ぼくは、九州でいちばん高い山の頂上に立っていた。
冷たい風が吹いていた。草だか笹だかの葉っぱにできた霧氷が触れあって、鈴のような音をたてていた。視界にあるものは星ばかりだったから、その響きは星と星が触れあう音のようでもあった。はじめて聞く音楽か言葉のようでもあった。

あのとき、ぼくが聞いたものは何だったのだろう。
ありあまるほどに輝いていたものは、何だったのだろう。
いまも鮮明に記憶にのこっている。
あれらの星空にくらべて、この夜の星空は幻か夢の続きのように思えてしまう。
とり残されたように深夜にひっそりと輝いている、都会の星はすこしさみしい。

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