2006-05-13 22:29:28エリック

寒くなった

雨の日、偶然の出会い。無言のまま、あなたの後ろに歩いているわたし。

よくわかる。わたしの付けられた位置。


急いでいるあなたが、たまに顧みる。天使のように、微笑んでいる。

何気ないぶりではなく、何気ないんだ。

空しい私の瞳に、映しているきれいなあなたの瞳に、私がいない。

傘のさしてないわたしに、あなたが問う。

「手が空いてない。」とわたしが言う。

「あたし持ちましょう。」とあなたが言う、優しく。

「もう大丈夫。」と、微笑んで私がやっと答えた。


もう、大丈夫。その瞬間、私が観念した。

雨に濡れている私の顔、涙が出ていない。

でも涙が確実に出た。それは、こころ。

友達でも、できない。私は何でもないから。


「走りましょう。」あなたが言う。急がなきゃ。

手を上げ、依然に無言の私。どうぞ。

そして遠ざかっていくあなたが、

残されている私と、離れた。離れた。

小さいあなたの姿、もっと小さくなり、

やがて、消えた。

寒くなった。今日は。