高齢妊婦の私も、これまで尿道感染や夜中のこむら返り、便秘など小さなトラブルはありましたが、出血そのほか大きなトラブルもなく、第20週（6ヶ月目）にはいりました。

前にも書きましたが、地方都市の郊外在住、しかも妊婦になってしまったので、単独での移動がままならなくなり、体調に関してちょっとでも不安なことがあると、すぐにネットにある情報に頼るようになってしまっています。ただ、ネットで見つけることのできるものの多くはBBS上の口コミ情報です。美容室に行って美容師から渡された女性週刊誌をついつい読んでしまうように（普段は絶対女性週刊誌は手に取らないのですが）、それと同レベルの下世話な好奇心から、ついついBBS上で展開されているさまざまな愚痴を読んでしまいます。そうしておいて、いつも読後感の悪さにすっきりしない思いをし、かつ、このようなことに時間を浪費している自分に情けなさを感じるのです。

妊娠前はBBSにお世話になることなんてなかったのに。。。でも、せっかくこんなに時間をかけてBBSを読み込んだので、全体を通じて感じたことを少しメモしておこうと思います。

セックスレスのお悩み相談BBSでも、妊娠出産育児関連のBBSでも共通していると個人的に感じたのは、次のとおりです。

・投稿者の多くは孤立している。
・投稿者は夫や家族、周囲の人間とのコミュニケーションがうまくいっていない。
・投稿者は自分の身に起きたトラブルを、身近な他人や自分のせいと思っており、それらの問題が起きる社会的背景についての考察は一切ない。
・投稿者が知りたい「他人の考え方、常識的な行為」とは、あくまでも「日本社会における普通」である。
・投稿者又は投稿者にストレスをもたらしている人物は他人に対する想像力がかなり欠如している。「かくあるべし」といった人間関係に対するイメージに固執し、それ以外の多様で、より豊かな人間関係の可能性を模索しようとしない。
・本来、友人を作ったり、なんらかの決断をする際に、異なる属性の人同志は異なる選択をするはずなのに、BBSで自分の悩みに回答をつのる投稿者たちは、地域性や教養（学歴）、職業、経済力などによる立場の違いをとりあえずかっこにいれ、「日本人の普通」を見ず知らずの掲示板参加者と共有しているという前提で書き込みをしているようにみえる。

現時点で感じているのはだいたい以上のようなことです。
断っておきますが、私はBBS使用者を批判しているわけではありません。BBSによって、ストレス解消することができる人がたくさんいるとしたら、それはそれで良いことだと思います。私だって、妊婦になってからBBSの利用をなかなかやめることができません。だから、上記の項目はもちろん私自身にも当てはまっているということです。ただ、いつまでもBBS的世界から抜け出せないと、生活の質が向上しないので、なんとか自分なりに整理をして、より有意義な妊婦生活を送りたいと思うのです。



そういったなか、一昨日高雄の紀伊国屋で『セックス格差社会』という本を偶然に手に取りました。
後半の少子化対策に移民受け入れをといった提言は今ひとつでしたが、この本の重要な点は、性行為や生殖に関することを「自分個人の能力の問題」と捉えるのではなく、社会との関連で捉えなおさなければならないということを提起しているところだと思います。
私がセックスレスお悩み掲示板や、妊娠出産育児関連の掲示板を読んでいて物足りないと思うのは、まさにこういう点においてです。どれも個人の愚痴と個人的に信じている常識や自分の経験だけで批判したりアドバイスしたりということを永遠に繰り返しており、掲示板に寄せられた膨大な愚痴から、みんなが共通に抱えている問題の社会的背景をあぶり出し、その改善に一歩歩みを進めようというふうにならないのです。
だから、多少議論は乱暴でも、手に取りやすい価格で、こういった問題提起の本が出回るのは良いことだと思います。今後はもっと別の研究者のもっと繊細な議論が読んでみたいと思います。何はともあれ、掲示板的な世界から一歩抜け出すためには、助けになる本だと思います。

＜参考＞
ベビカムコミュニティ：
http://com.babycome.ne.jp/U001.php

セックスレス解消365日：
http://resu.bbs.fc2.com/