前回の宿泊先は慶中街でしたが、今回は南門路と健康路の十字路を超えた場所にありました。孔子廟から南門路に沿ってずっと歩き、健康路を渡ると、雰囲気がぱっと変わります。車道の広さは同じでしょうし、脇に比較的広い歩道も整備されていて、見通しも良いのですが、脇に高い壁があり、人通りもなく、来てはいけない場所に足を踏み入れてしまったような、微かな違和感と恐怖感が湧き上がってきました。

私の今回の宿舎もそうですが、道路といい、建物といいやけに大作りで繊細さを欠いています。建物の中も不必要に廊下が広かったり。前回の宿舎にはかわいい猫と親切て礼儀正しい管理人さんもいましたが、こちらではあまりそういう他者との交流は望めないようです。町並みや建物のデザインがそこにとどまる人を選別するのかもしれませんし、そこにとどまる人の気持ちの持ち方にも影響を及ぼすのかもしれません。

五妃街の宿舎と今回の宿舎を比較できたことは、町並みのデザインを考える上でも参考になりました。私は台南市が大好きですが、地図の上で台南市に含まれている地区ならどこでも良いというわけではないのです。高速で車やバイクが走り抜けていく広い車道と、その脇にある広いけど脇に高い壁があって落ち着いて歩くことのできない歩道。こういう空間は、どこの都市に出現しようとやっぱり楽しく歩くことはできないのです。