2009-04-26 23:37:18雪子

開隆宮

 

台南の人で、長男、長女として生まれた人は、16歳のときにこの廟で成人式をするのだと、私を案内してくれた先生が教えてくれました。一般的に、夜は廟に行かないそうですが―言われてみればそうですね、夜は門が閉まっていますから。でも、私の若い友人はそんなこと教えてくれませんでした。―ちょっと見るだけのつもりでこの廟を訪れました。

 

拝殿の藻井があまりにも美しかったので、つい写真を撮ってしまいました。廟の中には二人のやや年配の女性がいました。簡単に挨拶をしたところ、中に入ってよいという許可を得ましたので、本尊が置いてある空間に足を踏み入れました。一人の女性が私のために日本語の紹介パンフレットを取りに行っている間、私たちは、勧められるままにお参りをしました。そして、女性たちは、私に「もっと近づいて見てよい」「お参りを済ませたのだから写真を撮っても良い」と言ってくれました。台湾にはあちこちに美しい廟がありますが、この廟の美しさ、かわいらしさ、雰囲気のよさは特別でした。地元の人たちが大切にしているからなのでしょう。

 

このとき改めて思ったのは、外来者として、現地の人に接するとき、建物に入れてもらうときには、できる限り失礼にならないように振舞おう、どう振舞ったら失礼でないか分からないときは、現地の人にちゃんと尋ねようということでした。若いエリート知識人が頼りになるときもありますが、街歩きをする場合には、やっぱり彼らの判断に頼りきりは危険だなと思いました。これからは、自分で直接現地の人に尋ねるようにしていきたいと思いました。

 

拝殿の前には、4匹の猫がまとまって座っていました。私の経験法則として「おばあちゃんと猫がとどまる場所は安全である」がありますが、この廟も、まあそういえると思います。

 

若いエリート女性に小ばかにされた態度を取られたときは、私が中年であるというだけで否定された気がして憤りを感じましたが、今晩再び素敵な年配の女性に出会えて、「歳を取るのも悪くない」と思い直しました。私も今晩この廟で出会ったような「素敵な年配女性」になりたいです。

 

台南は本当に不思議な都市です。電車が台南駅に着くまで、私は昨晩のことで憤っていたのに、駅を出発して、廟の近くを歩いただけで、それまでの憤りは消え、穏やかな、幸せな気持ちが体に充満してきました。