" まあ家と言っても、一人暮らし用だが。
" まあ家と言っても、一人暮らし用だが。
詳しいことは特に言わない。
家庭の都合、とか、勝手に想像してくれれば好都合だ。
「今度アイリールのこと、教えて下さい」
「ああ。って言っても、別にハーゼンと大して変わんないぞ」
エートはそれで教室を去っていき、俺もそれを切っ掛けに持ってきてた教科書類をまとめる。
寮に帰るのかと尋ねてきたハルに、図書館に行くと告げた。
図書館は女子寮側にある。
当然見てない風景のため、周囲を眺めながら廊下を進む。
白を基調とした学園の建物は、華美ではないが繊細で優雅なデザインで作られている。
教室棟から図書館へと続く渡り廊下は、丸みを帯びたフォルムの円柱が並び、何処か懐古的な光景を醸し出していた。
満月の日に見たら、月光を青く反射して綺麗かもしれない。
太陽とは違って2つの月は同じ方向から昇り同じ方向へ沈むので、光が煩くなる事もない。
怠けることなく足を進め、やがて見えてきた図書館を観察する。
図書館は教室棟よりも古い建物で、厳格で重厚感のある空気を纏っていた。
建物自体がまるで古い装丁の本のように、来訪者を待ち受けている。
重そうな両開きの扉に手を掛ければ、見た目に反して軽やかに動く。
物理的に変なので、恐らくコレも魔法だろう。
内観は、外装の見た目に劣ることなく、また期待を裏切らないものだった。
足元から吹き抜けの天井の遥かな高みまで本棚が積み上げられ、どの本棚にもぎっしりと本が並べられている。
視界を埋め尽くす、本の背表紙。
壁に窓のない室内だが、天井に大きめに取られた色ガラスの天窓が優しく光を取り入れて、息苦しさを感じさせない。
丁度建物の中央辺りから天窓まで長い螺旋階段が伸び、螺旋階段の途中からは幾つか建物の壁を沿うように緩いカーブを描く下り階段が生えている。
その下り階段から梯子が伸びている本棚もあるが、それでも到底届きそうもない位置にも本がある。
手の届かない場所の本は、恐らく魔法で飛ぶか取るか、そんな方法を使うんだろう。
また、壁面だけでは入り切らない本は地上の床に整列する割合普通の高さの本棚に収納され、床の半分を占拠する本棚の奥には勉強用の広い机が置かれていた。
流石に生徒の姿はなく、何人かの教師らしき人影が本棚に向かっているだけだった。"
感恩分享~~
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